【実話コラム】板橋区での室内鉄棒撤去トラブル記録

買取コラム

―― ネジが外れず、4件対応してもダメだった一日 ――

■ はじめに

不用品の買取・撤去の現場では、予想もしないトラブルが起こることがあります。
その中でも印象的だったのが、板橋区での「室内鉄棒撤去」での出来事。
一見、ただの組立式遊具の解体作業と思いきや、たった一本のネジが外れないことで、
結果的に買取できず「鉄くず回収」となってしまった実話です。


■ 板橋区のお客様からのご依頼

板橋区内にお住まいのお客様から「子どもが使わなくなった室内鉄棒を買取・撤去してほしい」とのご依頼をいただきました。
訪問したのはマンションの一室。
お子さん用の本格的な体操鉄棒で、スチール製のしっかりとした造り。
家庭用ながら強度も高く、状態も良好でした。

使用感はあるものの目立つサビもなく、メーカータグも残っていたため「これは中古市場でも需要がある」と判断。
その場で買取を兼ねて解体・搬出作業を進めることにしました。


■ 解体作業開始。しかし、ネジが外れない

この室内鉄棒は、脚部と支柱をボルトで連結する仕組み。
ボルト・ナット合わせて15箇所。
電動ドライバーを使って一箇所ずつ緩めていきました。

14箇所まではスムーズに外れ、順調。
ところが最後の1箇所だけ、びくともしません。

ドライバーを押し込みながら回しても、「ギギッ」と嫌な音がするだけで、ネジが空回り。
頭をよく見ると、プラス溝が潰れて完全に“なめた状態”になっていました。

鉄棒のパイプ内部に食い込んだネジ。
力任せにやると金属が変形し、支柱自体をダメにしてしまう恐れがあります。
「これは厄介だな…」と慎重に作業を中断しました。


① 輪ゴムを使う裏技(失敗)

まず試したのは、ネットでよく紹介される「輪ゴムをネジ頭に当てて回す」方法。
ドライバーとネジの間に輪ゴムを挟み、摩擦を増やして滑りを防ぐテクニックです。

しかし、今回は完全に潰れたネジ穴。
輪ゴムを挟んでも、ドライバーがうまく噛まず、空回りするばかりでした。

【結果】失敗。


② ビバホーム前野町店で「ネジザウルス PZ-55」を購入

次に向かったのは、いつもお世話になっているスーパービバホーム前野町店(板橋区前野町3丁目)。
工具コーナーの担当スタッフさんに事情を説明すると、すぐに紹介してくださったのが
エンジニア社製の「ネジザウルス PZ-55」でした。

価格は税込2,068円。
パッケージには「つぶれたネジ、サビたネジ、固着ネジもこれで外せる!」と大きく書かれています。
店員さんも「これが一番人気ですよ」と丁寧に教えてくれました。

早速現場に戻り、PZ-55でネジ頭をしっかり掴んで回してみました。
しかし、金属同士が焼き付いたように固く、まったく動かず。
力をかけすぎると滑ってしまい、ネジ頭の縁がさらに削れてしまいました。

【結果】失敗。


③ ヨドバシカメラWEB通販で「ANEX ネジすべり止め液」を購入

次に試したのは、摩擦を強化する“補助液”。
ヨドバシカメラのWEB通販でANEX ネジすべり止め液 No.40を注文。
価格は税込362円。即日配送で届きました(対応の早さに感謝です)。

この液体をドライバーの先に1〜2滴つけて、潰れたネジに押し当てながらゆっくり回す。
摩擦を強め、空回りを防ぐという仕組みです。

試してみると、確かに滑りにくくなりました。
しかし、ネジ頭の形が完全に崩壊していたため、ドライバーが噛み合わず、結局動きませんでした

【結果】失敗。


④ 榎本工務店さんに相談(断られるも感謝)

ここまで3つの方法を試してもダメだったため、
最後の頼みの綱として板橋区の榎本工務店さんに電話で相談しました。

榎本工務店さんは、地域で信頼されている丁寧な仕事ぶりの工務店。
これまでにも住宅リフォームや修繕などでお世話になったことがあり、
「もし誰かにお願いするならここしかない」と思い連絡しました。

担当の方は状況を細かく聞いてくださり、
「室内鉄棒の構造上、ネジの固着部分を削るとパイプ全体が歪み、商品が破損する可能性がある」
と慎重に説明してくれました。

結果として、「今回は安全面を考慮してお受けできません」という判断。
プロとしての誠実な対応に、むしろ感謝の気持ちでいっぱいになりました。

榎本工務店さんのように、安易に作業を引き受けず、リスクをきちんと伝えてくれる姿勢こそ、
地域に信頼される理由だと感じました。

【結果】丁寧な説明のうえで依頼不可。感謝。


⑤ 4件試しても外れず、最終的に鉄くず回収へ

ここまでで試した方法は、以下の通り。

試した手順内容結果
輪ゴム+ドライバー失敗
ネジザウルス PZ-55失敗
ANEX ネジすべり止め液失敗
榎本工務店に依頼破損リスクのため見送り

最終的に、どの方法でも外れず、やむなく「鉄くず回収」として無料で引き取りを行いました。
鉄棒自体は需要があり、本来であれば買取可能な商品。
しかし、わずか1本のネジが外れないだけで“価値がゼロ”になってしまうことを痛感しました。


⑥ かかった費用と時間

項目 費用 備考

ネジザウルス PZ-55 ¥2,068 ビバホーム前野町店で購入
ネジすべり止め液 ¥362 ヨドバシカメラWEB通販
合計 ¥2,430 作業時間 約3時間+移動含む

項目費用備考
ネジザウルス PZ-55¥2,068ビバホーム前野町店で購入
ネジすべり止め液¥362ヨドバシカメラWEB通販
合計 ¥2,430作業時間 約3時間+移動含む

このように、ネジ1本のトラブルに費やした時間と費用は意外と大きいものでした。


⑦ 現場で得た教訓

今回の件で改めて感じたのは、「ネジ1本で全てが決まる」ということ。
どんなに状態の良い商品でも、分解できなければ搬出できず、結果的に再販もできません

特にスチール製の器具は、長年の使用で金属疲労やサビが発生し、

  • ねじ山が潰れている
  • 塗装で固着している
  • 組立時に強く締めすぎている

といったケースが多くあります。

また、ネジの規格にも注意が必要です。
輸入製品の場合、ドライバー規格がJIS(日本工業規格)と合わず、噛み合わないことがあります
無理に回すと、今回のように“なめる”原因になります。


⑧ 再発防止とおすすめの対策

同じような状況を防ぐために、次のようなポイントを押さえておくと安心です。

  1. 潤滑スプレーを使う前に周囲を養生する
     CRC556などの潤滑油を少量吹きかけ、数分放置。
     室内なら新聞紙などで床を保護してから使用。
  2. ドライバーのサイズ確認
     プラス2番・3番の違いを見逃さず、合わないものは使わない。
  3. 叩いて緩める衝撃技
     ハンマーで軽く叩くと、固着部分のサビが割れて緩みやすくなる。
     ただし力の入れすぎは厳禁。
  4. “ネジザウルスGT(PZ-58)”など上位モデルの常備
     今回使ったPZ-55よりも保持力が強く、より太いネジにも対応。
  5. 摩擦補助剤の早期使用
     まだ溝が残っている段階で「ANEXすべり止め液」を使うと効果的。
  6. 無理をせずプロへ相談
     今回のように榎本工務店さんのような信頼できる工務店へ相談し、
     リスクを説明してもらうのが最も安全です。

⑨ 地域の支えに感謝

今回の現場では、いくつかの地域店舗と人の支えがありました。
ビバホーム前野町店のスタッフさんは親切に工具を紹介してくれ、
ヨドバシカメラの迅速な配送も大変助かりました。

そして何より、榎本工務店さんの誠実な対応。
無理に作業せず、「壊れる可能性があるからやめておきましょう」と明確に伝えてくださったその姿勢に、
職人としての誇りと信頼を感じました。
地域には、こうした“技術と誠意のあるプロ”がいてくれることが本当にありがたいです。


⑩ まとめ ― ネジ1本の重み

この一件で学んだのは、
「どんなに小さな部品でも、全体の価値を左右する」ということ。

鉄棒は本来なら買取可能な人気商品でしたが、
最後のネジ1本が外れなかったことで、買取不可・鉄くず回収となりました。

現場で作業をしていると、
“焦らず、丁寧に、そして正しい工具を使う”ことの大切さを痛感します。
もしご家庭で家具や遊具を分解する際は、
無理をせず、時間をかけて、ネジの状態をよく確認してから進めてください。


■ 最後に

今回の費用合計は 2,430円。
結果だけ見れば「赤字」ですが、得られた経験と教訓はそれ以上の価値がありました。

榎本工務店さんをはじめ、対応してくださった皆様に感謝申し上げます。
そして、同じように作業される方々に、この実例が少しでも参考になれば幸いです。

「ネジ1本を甘く見ない」
これからも、安全で確実な買取・撤去作業を心がけていきます。

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