レコードがつないだご縁 ― 看板からはじまった出会い

買取コラム
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当店「緊急買取22時」は、板橋区蓮沼町を拠点に、地域に根ざした総合リユース事業を行っております。
創業以来、幅広い品目の買取を承ってきましたが、中でも近年ご依頼が増えているのがレコードの買取です。

音楽再生のデジタル化が進んだ現代においても、レコードは不思議な魅力を持ち続けています。
ただ音を聴くためだけではなく、音楽そのものの“重み”や“存在感”を感じさせてくれる、独特の価値を宿したメディアです。

しかし、多くのご家庭でレコードは本棚の奥や押し入れにしまわれたままになっていることがあります。
そして、整理や相続をきっかけに「手放したいが、どうしたらいいかわからない」というお問い合わせをいただくことが少なくありません。

今回ご紹介するお話も、そうしたお問い合わせのひとつから始まりました。
それは、当店の前に掲げた小さな看板から生まれたご縁についてです。


一本の電話から始まった依頼

ある日の昼下がり、当店に一本の電話が入りました。

レコードの買取をお願いしたいのですが、お店の前の看板を見てお電話しました。

落ち着いた声の男性でした。
お住まいをお伺いすると東京都品川区とのこと。少し距離がある地域ではありますが、その方はよく板橋区周辺に来られるそうで、「実は遺品整理中で父のレコードがかなりありまして……」と続けられました。

さらに詳しく伺うと、レコードは品川のご自宅ではなく、板橋区蓮沼町にあるご実家に保管されているとのことでした。

今でも週に一度は実家へ行っています。
母が高齢になり、遺品整理をしながら家の中を片付けているところなんです。

当店の看板は、その方がご実家へ向かう途中で偶然見かけたものだったそうです。
数年にわたり誰も触れていなかったレコードをどうするべきか悩んでいたとき、偶然にも当店の看板が目に入り、勇気を出して問い合わせをしてくださったといいます。


「まずは数枚だけ」 ― 試す気持ちでのご来店

レコード買取のご相談の中には、最初から「大量にあるのでまとめて見てほしい」とご希望されるお客様もいらっしゃいます。しかし、このお客様は少し違いました。

いきなり全部をお願いするのは不安だったので、まずは数枚だけ査定していただけますか?

そのお気持ちはよく理解できます。
レコードはご家族の思い出が詰まった品であり、場合によっては亡くなられた方の遺品でもあります。
どこの誰かわからない業者にいきなり大切な品をすべて預けることに抵抗を感じるのは当然のことだと思います。

私は、

ひろた店長
ひろた店長

もちろんです。当店では一枚からでも査定を承っています

とお伝えし、まずは店頭へのお持ち込みをお願いしました。

翌日、お客様は紙袋にレコードを入れてご来店されました。
そこにはクラシック、ジャズ、映画音楽、イージーリスニングなど約20枚のレコードが入っていました。


レコード査定に必要なことは“正直さ”と“説明”

状態を拝見すると、どのレコードも非常に丁寧に扱われていたことがわかりました。
盤面のキズは最小限で、反りもほとんどありません。
付属品の帯や解説書が付いているものも多く、保管状態は良好でした。

査定結果をお伝えすると、お客様は少し驚いた表情をされました。

もっと安いと思っていました。というより、値段がつかないものばかりだろうと……

レコードの査定額は状態・内容・需要・再販性など複数の要素で決まります。
中には査定価格をお伝えする際、「なぜこの値段なのか」を説明しない業者もあると聞きます。
しかし、当店では金額の根拠を正直にお伝えすることを大切にしています。

なぜなら、この仕事の本質は「信頼」であり、「金額は対話から生まれるもの」だと考えているからです。

査定後、お客様はこうおっしゃいました。

実は、これで判断しようと思っていました。この店に任せて良いかどうかを。


「まだ家にレコードがあるんです」 ― 真の相談

お客様はその日の査定に満足され、数点のレコードを買取させていただきました。
帰り際、静かな声でこう言われました。

実は、家にはこれの10倍以上、レコードがあります。

私が驚いて状況を伺うと、こう続けられました。

父が若い頃から集めていたもので、押し入れの奥に何百枚もあります。
家の整理を進めたいのですが、量が多く、私一人では手に負えないんです。

そして後日、お客様のご実家――板橋区蓮沼町へ出張査定に伺うことになりました。


出張査定へ ― 蓮沼町の静かなご実家にて

ご実家に伺うと、リビングの棚や押し入れ、床の一角にレコードの箱が積まれていました。
その数は約300枚。クラシック・ジャズ・歌謡曲・映画音楽・オーディオファン向けレコードなど多岐にわたり、中には輸入盤や廃盤になっている希少なタイトルも含まれていました。

査定中、お客様はふとこんなお話をしてくださいました。

父は音楽が好きな人でした。よく夜にレコードをかけていました。
私にはその価値がよくわからなかったけれど……こうして並べてみると、ただのモノではないですね。

その言葉を聞き、私は改めて思いました。
レコードは音の記録であると同時に、時間の記録でもあるということを。

中古品の世界では、時に「これは売れるか」「売れないか」という基準だけで見られてしまうことがあります。
しかし、私たちが扱っているのは単なる商品ではありません。それは誰かの人生の一部であり、思い出であり、時間そのものなのです。


大切なのは“手放す理由に寄り添うこと”

査定を終えると、お客様は静かにこう言われました。

父の物はできるだけ大事に扱ってくれる人に渡したいと思っていました。でも、レコードを中古で扱ってくれるところにお願いするのはどうなのかと悩んでいました。でも……今日お話しして、決心がつきました。

その言葉を聞いて、私は胸が熱くなりました。
私たちの仕事は、ただ価値を査定して買い取る仕事ではない。
手放すことを通じて、お客様の気持ちを整理するお手伝いをする仕事なのだ
――そう思わせてくれた出来事でした。


買取成立、そして感謝の言葉

最終的に、お客様はすべてのレコードを当店に託してくださいました。

重いものを一つ手放せた気がします。本当にありがとうございました

その言葉をいただいた時、私はいつも感じることを改めて噛みしめました。

買取とは、単なる取引ではない。
人の想いと想いが交わる仕事である。


これからも

今回のご縁は、偶然ではなく必然だったのかもしれません。
通りがかった道に置かれた一枚の看板。そこからつながった一本の電話。そして生まれた信頼と対話。

これからも当店は、モノと人を丁寧につなぐ場所でありたいと考えています

緊急買取22時は、これからも仕事に向き合い続けます。
「売りたい」だけでなく、「相談したい」にも応えるお店でありたいと思っています。


緊急買取22時(株式会社エフコーポレーション)
所在地:東京都板橋区蓮沼町45-2
営業時間:9:00〜22:00(持込買取18:00まで)
電話:03-6454-9781
LINE査定:https://lin.ee/BMZgf4j
対応エリア:板橋区・北区・練馬区・豊島区・文京区・埼玉南部ほか
取扱い商品:レコード/オーディオ機器/ホビー/カメラ/家電ほか

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